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honyanofutari:

『堀辰雄(ちくま日本文学)』堀辰雄、ちくま文庫、2009

雨が小止みもなしに降りつづいたあげく、ある日、それにはげしい風さえ加わり出した。風はほとんど終日その雨を横なぐりに硝子戸に吹き付けて、ざわめいている戸外をよくも見させず、家のなかの私達まで怯やかしていたが、夕方、やっとその長い雨をどこかへ吹き払ってしまってくれた。そうしてからもまだ風だけは、そのまま闇の中にしばらく残っていた。 『幼年時代』「洪水」より

「雨」が先に行ってしまって、不満げたっぷりな「風」がなんだか可愛いようで少し恐い。こんなふうに、自然は僕らのすぐ近くにいる。一緒に生きている。そう思わせる言葉の力。
選書・コメント/SUNNY BOY BOOKS イラスト/森本将平
――「本屋の二人」 vol.3 〈本屋の二人+絵描き〉のための試み

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『堀辰雄(ちくま日本文学)』堀辰雄、ちくま文庫、2009

雨が小止みもなしに降りつづいたあげく、ある日、それにはげしい風さえ加わり出した。風はほとんど終日その雨を横なぐりに硝子戸に吹き付けて、ざわめいている戸外をよくも見させず、家のなかの私達まで怯やかしていたが、夕方、やっとその長い雨をどこかへ吹き払ってしまってくれた。そうしてからもまだ風だけは、そのまま闇の中にしばらく残っていた。 『幼年時代』「洪水」より

「雨」が先に行ってしまって、不満げたっぷりな「風」がなんだか可愛いようで少し恐い。こんなふうに、自然は僕らのすぐ近くにいる。一緒に生きている。そう思わせる言葉の力。

選書・コメント/SUNNY BOY BOOKS イラスト/森本将平

――「本屋の二人」 vol.3 〈本屋の二人+絵描き〉のための試み

honyanofutari:

『雲の憩う丘』串田孫一、創文社、1970

次第に彩られて行く雲と、その雲が、かなり早く北へと流れながら、からみつくようにしている薄赤い太陽に向かっている時、久し振りにさばさばと、無意味な憂いの数々を洗い流した気持になった。——ひょっとすると、殆ど無意識に、こうした遙かにひろがる風景を、無目的に、ひたすら眺めることによって、その時々の、さまざまの息苦しさから救われて来たようにも思われた。

詩人の憂いを洗い流した晩夏の風の光景は、その詩人の言葉によって再び私たちの目の前にくっきりと現れる。私たちの憂いも洗い流してくれるかのよう。
選書・コメント/Readin’good イラスト/森本将平
――「本屋の二人」Vol.3〈本屋の二人+絵描き〉のための試み

honyanofutari:

『雲の憩う丘』串田孫一、創文社、1970

次第に彩られて行く雲と、その雲が、かなり早く北へと流れながら、からみつくようにしている薄赤い太陽に向かっている時、久し振りにさばさばと、無意味な憂いの数々を洗い流した気持になった。——ひょっとすると、殆ど無意識に、こうした遙かにひろがる風景を、無目的に、ひたすら眺めることによって、その時々の、さまざまの息苦しさから救われて来たようにも思われた。

詩人の憂いを洗い流した晩夏の風の光景は、その詩人の言葉によって再び私たちの目の前にくっきりと現れる。私たちの憂いも洗い流してくれるかのよう。

選書・コメント/Readin’good イラスト/森本将平

――「本屋の二人」Vol.3〈本屋の二人+絵描き〉のための試み

水中図鑑
『波』
http://suichuzukan.com/

水中図鑑

『波』

http://suichuzukan.com/

雑誌『BIRD』第6号でイラストを描いています。

http://www.transit.ne.jp/bird/contents/006/

7月に吉祥寺のにじ画廊で開催される、期間限定書店『本屋の二人vol.3』にて作品を展示します。

///

本屋の二人vol.3】

選書テーマ/風
期間/7月17日(木)-7月29日(火) 12:00-20:00 ※水曜定休
会場/にじ画廊
 〒180-0004 東京都武蔵野市吉祥寺本町2-2-10
tel/0422-21-2177
http://www12.ocn.ne.jp/~niji/

オープニングパーティー 7月19日(土) 18:00-20:00
川瀬知代による「粒 粒」がフードで表現した“本”を、みんなでいただきます。
※どなたでも無料でご参加いただけます。

フライヤーデザイン:加瀬透

honyanofutari:

『聞け! 風が』アン・モロー・リンドバーグ、中村妙子訳、みすず書房、2004

青い海面に白波が立っていた。白波—―風がおどっていた。まあ、風があるのね、いい風が。風—―わたしはハッとし、次の瞬間、思わず微笑していた。ここはバサーストではないわ。わたしたち、ナタールに到着したのよ。風はもう要らない。

すべての冒険を前に、荒れ狂う風は時に敵になり、穏やかな風は味方となる。コントロールなんてできないし、できなくていい。ゆっくりと風の前に歩み出れば、風はそっと教えてくれる。
選書・コメント/SUNNY BOY BOOKS イラスト/森本将平
――「本屋の二人」Vol.3〈本屋の二人+絵描き〉のための試み

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『聞け! 風が』アン・モロー・リンドバーグ、中村妙子訳、みすず書房、2004

青い海面に白波が立っていた。白波—―風がおどっていた。まあ、風があるのね、いい風が。風—―わたしはハッとし、次の瞬間、思わず微笑していた。ここはバサーストではないわ。わたしたち、ナタールに到着したのよ。風はもう要らない。

すべての冒険を前に、荒れ狂う風は時に敵になり、穏やかな風は味方となる。コントロールなんてできないし、できなくていい。ゆっくりと風の前に歩み出れば、風はそっと教えてくれる。

選書・コメント/SUNNY BOY BOOKS イラスト/森本将平

――「本屋の二人」Vol.3〈本屋の二人+絵描き〉のための試み

honyanofutari:

『彼は海へ向かう』片岡義男、佐藤秀明・写真、東京書籍、1991

ひとつの海に、夏の日の少年が泳いで浮かぶとすると、これは革命的な出来事になる。――立つわけでもなく寝ころがるわけでもなく、さらには転がるわけでもなく宙吊りになるわけでもない、不思議な状態。その不思議な状態が、宙に浮いている地球の上で可能になる。

我が身ひとつで、あるいはサーフボードとともに、波打ち際に引き寄せられていく少年たち。風がうねりを立てる海面で、水と風との交感に本能的に没頭していく彼らの幸福。
選書・テキスト/Readin’good イラスト/森本将平

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『彼は海へ向かう』片岡義男、佐藤秀明・写真、東京書籍、1991

ひとつの海に、夏の日の少年が泳いで浮かぶとすると、これは革命的な出来事になる。――立つわけでもなく寝ころがるわけでもなく、さらには転がるわけでもなく宙吊りになるわけでもない、不思議な状態。その不思議な状態が、宙に浮いている地球の上で可能になる。

我が身ひとつで、あるいはサーフボードとともに、波打ち際に引き寄せられていく少年たち。風がうねりを立てる海面で、水と風との交感に本能的に没頭していく彼らの幸福。

選書・テキスト/Readin’good イラスト/森本将平

honyanofutari:

『女生徒』 太宰治、佐内正史・写真、作品社、2000

青い湖のような目、青い草原に寝て大空を見ているような目、ときどき雲が流れて写る。鳥の影まで、はっきり写る。美しい目のひとと沢山逢ってみたい。

 どこの誰かはわからない。それはそうだ、この女の子は女生徒でしかないのだから。風のように去っていく十代の記憶をまとい、押し寄せてくる“いま”とたたかう女の子。好きです。
選書・コメント/SUNNY BOY BOOKS イラスト/森本将平

honyanofutari:

『女生徒』 太宰治、佐内正史・写真、作品社、2000

青い湖のような目、青い草原に寝て大空を見ているような目、ときどき雲が流れて写る。鳥の影まで、はっきり写る。美しい目のひとと沢山逢ってみたい。

 どこの誰かはわからない。それはそうだ、この女の子は女生徒でしかないのだから。風のように去っていく十代の記憶をまとい、押し寄せてくるいまとたたかう女の子。好きです。

選書・コメント/SUNNY BOY BOOKS イラスト/森本将平

夏に開催される『本屋の二人』vol.3にイラストでご一緒することになりました。
それに向けて、本屋の二人が『風』というテーマで選書した本を、お二人の文章と僕のイラストで紹介する試みをはじめました。
今後、本屋の二人のtumblrにて公開していきます。
http://honyanofutari.tumblr.com/

夏に開催される『本屋の二人』vol.3にイラストでご一緒することになりました。

それに向けて、本屋の二人が『風』というテーマで選書した本を、お二人の文章と僕のイラストで紹介する試みをはじめました。

今後、本屋の二人のtumblrにて公開していきます。

http://honyanofutari.tumblr.com/